東京電力パワーグリッド(PG)は7日、千葉県にある変電所の過負荷を避けるため、火力発電の出力を抑える基幹系統の混雑処理を6日に実施したと発表した。2023年12月に始まった再給電方式に基づき、調整電源で基幹系統の混雑処理を行うのは全国で初めて。同日は気温が高まり千葉・房総エリアの需要が想定よりも低下した一方で、房総変電所につながる火力発電所が計画通りに稼働。同変電所への潮流が変圧器容量を超えるおそれがあったため、火力発電の出力を抑えた。
エリア内の需給バランス確保を目的とした電源の出力制御については、優先給電ルールに基づき全国の一般送配電事業者が行っている。これとは異なり今回の事象は、基幹系統の混雑処理を目的とした再給電方式に基づく調整電源の出力制御となる。一定のルールに基づいて調整電源を用いて混雑を緩和する。
6日は千葉県館山市で気温が17度を超え、千葉・房総エリアで暖房需要が伸びなかった。一方で、房総変電所につながる火力発電所は発電計画通りに順調に稼働。房総変電所に潮流が集中し、変圧器が過負荷になるおそれがあったため、火力電源をオンラインで制御した。出力を下げた分、他地点の電源を上げ調整して需給バランスは確保している。
制御した発電所名はあきらかにしていないが、6日の午後0時~0時30分、午後1時30分~2時、午後2時~2時30分の3コマで計15万キロワット時(速報値)の出力を抑えた。対象の電源を持つ事業者は、東電PGと調整力契約を結んでいる。調整力の下げ調整に伴う精算も行った。計画上は発電した電気を送っている形だが、実際は出力を落とし燃料消費を抑えているため、事業者が一定額を東電PGに支払っている。
再給電方式に基づいて調整できる電源は揚水発電なども対象となるが、6日の制御は火力発電のみ。再生可能エネルギーも制御していない。
東電PGによると房総変電所の容量は、周辺の電源から届く電気を受け入れられる規模に設定している。ただ房総エリアはループ系統のため、周辺発電所の1ユニットの起動、停止の動きで潮流に変化が生じるケースもあるという。今回発電と需要の変化の中で、房総変電所が過負荷になる懸念があった。
今後も需要の端境期などは調整電源を用いて系統の混雑処理をする可能性は残る。このため東電PGは変電所容量の増強要否について検討している。
電気新聞2025年1月9日
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