◇今回の登壇者 水上裕康氏(ヒロ・ミズカミ代表)

みずかみ・ひろやす 1960年生まれ。一橋大商卒、北陸電力入社。米ジョージタウン大経営学修士(MBA)取得。北陸電力では燃料部長を務めるなど燃料業務を通算16年間担当。20年に同社執行役員を退任後、ヒロ・ミズカミを設立。日本市場における電力取引・発電用燃料取引のコンサルティングを手掛ける。

<今回の論点>

 近年頻発する電力需給逼迫の背景として「燃料危機」がある。日本の電力市場には約2カ月前に手当した発電用燃料と在庫分の「限られた燃料資源」しか投入できないが、この消費予測が市場の発展や変動再エネの拡大で年々難しくなっている。また限界費用入札で需給状況を反映した価格シグナルを市場が発せず、「量の予備力」の維持と拡大も損なわれている。資源なき日本で電力市場を運営するために(1)スポット市場に需給状況を適切に反映させる(2)燃料サプライチェーンを考慮した供給力確保(3)LNG・石炭の戦略備蓄――を考慮した制度の再構築を提言する。

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