2025年度から始まる次世代スマートメーターの導入を契機として、電力データから新たな価値を生み出すサービス開発が加速しそうだ。電力波形の分析技術に強みを持つ米国企業のsense(センス)は、電力データに基づく配電網の故障予測・検知、需要家側リソースの管理高度化に向けた実証を日本国内の複数の電力会社、通信事業者などと始めた。米国内では、同社技術を搭載したスマートメーターがすでに導入されている。そこで得た知見を生かし、日本の市場開拓を進める。
日本国内では14年度から、現行のスマートメーターの導入が本格的に始まった。初期に導入された機器は、10年間の検定期間を経て25年度から次世代機器への取り替えが始まる見通しだ。
メーターの「世代交代」を機に、電力データを使ったサービス開発が水面下で盛り上がりをみせている。海外のプレーヤーもこれを商機と捉え、市場開拓に動き始めた。
米ボストン市に本拠を置くセンスは、13年に創業したスタートアップ。多彩な電気機器の使用状況なども解析できる高い精度で電力データを取得。音声認識合成のノウハウを用い、エッジ側で処理を行うことでデータ量を大幅に圧縮し、通信費用を抑えつつ高度な解析につなげる技術を提供する。
通信機能などを集約したコインサイズの素子をスマートメーターに搭載し、電力データを取得する。大手電力量計メーカーのランディスギア、アイトロンに採用された実績がある。
電力データを活用したサービスは主にホームユース、デマンドレスポンス、送配電網の故障予測・検知の3種類。ホームユースは家電の稼働情報を、電気料金の削減などに生かす。米国と異なる日本の家電機器に同社の技術を適用するため、複数の企業と検証を実施。デマンドレスポンス、送配電網関連のサービスについても早期実装を目指し、日本国内で実証を進めている。
電気新聞2024年9月2日
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