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最後に、原子力について触れておきたい。2050年カーボンニュートラルに向けては、原子力の再稼働を着実に進めることに加え、新増設を進めるため新たな仕組みを検討する必要がある。原子力事故時における事業者の無過失・無限責任の存在や安全対策投資に必要な額が見通せない状況を踏まえると、長期オークションだけでは、新増設の投資が進まないことは明らかである。原子力は、他の電源と異なるリスクを抱えていることから、原子力の新増設を見据え、原子力に特化した新たな枠組みの検討が必要となる。
なお、内外無差別の卸取引を進める場合、経過措置料金の解除も重要となる。すなわち、新電力は旧一電の経過措置料金より高くなると競争力が失われるため、経過措置料金を基準とした料金メニューを提供している事業者が多いが、内外無差別の卸取引がプライスベースの取引となれば、指標となる調達年度の先物価格などによっては、調達した価格が需要家へ供給する料金を上回る、いわゆる逆ザヤが生じる場合もある。健全な競争を行うためにも経過措置料金規制は、早期に解除されることが適切といえよう。