九州電力と国土交通省九州地方整備局は25日、筑後川水系の2つの既設ダムを利用して揚水発電の導入を検討すると発表した。上流の下筌(しもうけ)ダム(左岸=大分県日田市)を上池、下流の松原ダム(日田市)を下池として、発電所の新設が可能かを調べる。出力や運転開始時期などは今後詰める。再生可能エネルギーの出力制御の低減や火力発電の抑制につなげるほか、需給逼迫時のピーク電源として活用する狙いがある。
検討期間は現段階で未定。設備の所有・運転の主体は今後検討していく。事業費も現段階で未定。
九州エリアには小丸川(宮崎県木城町、120万キロワット)、天山(佐賀県唐津市、60万キロワット)、大平(熊本県八代市、50万キロワット)の3つの揚水発電所があり、今回の地点で事業化が決まれば、同エリアで4番目の揚水発電所となる。
下筌、松原両ダムは上下流方向に隣接していて距離が近く、九州電力が発電用の利水容量も保持している。事業化可能性があるとみて調査をする。
九州エリアの2024年度再エネ出力制御率の見通しは6.1%と全エリアで最も高い。揚水の需給調整機能を拡充することで出力制御を減らす効果も期待できる。
治水面でプラスにもなる見込み。発電所の放水管を活用することで事前放流にかかる時間を短縮できるほか、揚水発電に伴って空虚容量が生じるため非洪水期にも実質的に洪水調節が可能になる。
電気新聞2024年6月26日
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