GX実行会議で方向性示す

 
 政府は24日、革新軽水炉など次世代炉の新増設・リプレース検討を柱とする原子力政策の方向性を決めた。電力自由化下で新設を促す仕組みなど、2022年末までに具体策をまとめる。運転期間延長の在り方も検討の俎上(そじょう)に載せる。ロシアによるウクライナ侵攻を発端とするエネルギー地政学の変化や、2050年カーボンニュートラルに向けた原子力の重要性を踏まえ、政策を大きく転換する。

 政府は新増設・リプレースについて、東京電力福島第一原子力発電所事故後、これまでの国会答弁などで「現時点で想定していない」と繰り返してきた。安定供給再構築を議題とした24日の「GX実行会議」で、西村康稔経済産業相はエネルギー政策遅滞の解消に向けた政治決断が求められる項目として革新炉の開発・建設を挙げた。

 岸田文雄首相は年末に具体的結論を出せるよう、与党や専門家の意見を踏まえた詳細検討を求めた。50年カーボンニュートラルや将来の安定供給確保に向け、再稼働の先を見据えた政治決断に踏み切った。

 革新炉開発の在り方を巡っては、既に総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の原子力小委員会で革新軽水炉を筆頭にロードマップの議論が進んでおり、22年末までに一層具体化させる。併せて原子力規制委員会との関係も踏まえた運転期間延長の在り方も検討。原子力の事業環境整備や、バックエンドにおける国の取り組みも議論する。

 足元では、今冬までの最大9基稼働に加え、来夏以降に原子炉設置変更許可済みの7基について再稼働を目指す。特に地元同意が得られていない東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機、日本原子力発電東海第二発電所は、国が前面に立って理解活動を進める。残りの審査中、未申請プラントを含む再稼働加速の緊急対策を今秋に取りまとめる。

 このほか、経産省はGX実行会議で、電力システム改革は途上という認識を示して、安定供給確保のために電力システムに関する制度全体の再点検が必要だと説明した。全国の中から安定供給の維持や脱炭素を推進する上で重要性の高い電源を明確にして、維持するなどの取り組みを今後検討する方向が決まった。

電気新聞2022年8月25日