エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、2012年から地熱開発事業に取り組んでいる。ただ、従来型地熱発電の発電量は後述する課題も多く、近年大幅には増加していない。24年11月には総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会において「地熱開発加速化パッケージ」が定められ、地熱フロンティアプロジェクトが始動し、次世代型地熱の開発にも取り組まれている。次世代型地熱推進官民協議会で公表された中間とりまとめを基に、次世代型地熱の現状を今後3回に分けて俯瞰(ふかん)する。

 データセンターの拡大などに伴う電力需要の増加や熱エネルギー利用が拡大する可能性を踏まえ、カーボンニュートラル価値、ベースロード電源価値、エネルギー安全保障に寄与する国産・内製化、調整電源機能の可能性といった特性を持つ、次世代型地熱発電への期待が大きくなっている。

 第7次エネルギー基本計画では、安定的な発電に加え、地域にも貢献できる地熱発電について、様々な課題を克服して競争力のある電源としていくことが明記された。地熱発電の課題には、(1)従来型地熱熱水資源が山間地域に偏在しており、自然公園や保安林・保護林などの区域と重なる場合が多く、開発面積に制限がある(2)天然に存在する地熱貯留層の規模が限定的であることから他電源と比較して大規模・大出力の開発は難しい(3)地質の1ユニットが広く分布し断層が少なく地質構造が単純で安定した大陸地塊を形成している欧米と比較し、日本列島では様々な地質が複雑に分布し多くの断層や活火山が存在する(4)これらの要因により従来型地熱発電のコストは不確実性が大きく依然として高水準にある――ことなどが挙げられ、抜本的な取り組みが必要な状況である。

 このため、次世代型地熱には期待が寄せられている。従来型地熱発電の地熱資源量2350万キロワットに対し、次世代型地熱発電技術を大きく(1)クローズドループ(2)EGS(3)超臨界地熱――に分類。(1)と(2)で6600万キロワット、(3)で1100万キロワットの地熱資源量が見込まれている。


 (1)クローズドループ

 熱水・蒸気がない地域へ開発地域を拡大できることが期待される一方、貯留層における継続的な熱供給や発電量に見合う掘削コストの低減といった課題が挙げられている。加Eavor社や米Greenfire Energy社がドイツや米国で実証している。中部電力や鹿島など日本企業も出資している。

 (2)EGS

 クローズドループと同様に、熱水・蒸気がない地域への開発拡大が期待されている。自然き裂の活用や人工貯留層造成などによる増進手法(フラクチャリングや水圧刺激、化学的手法など)を用いる。課題として、循環流体の回収率の向上、微小振動の抑制などが挙げられる。米Fervo社は、米エネルギー省(DOE)が定めた微小振動緩和プロトコル(ISPM)に沿ってモニタリングを継続しながら操業することにより、Cape Station地域では500万キロワット以上の開発が可能だと評価している。このプロジェクトには三菱重工などの日本企業も出資している。

 (3)超臨界地熱

 超臨界地熱は、従来型地熱の現状と比較し出力が大きく、発電コストの低減が期待されている。一方、高温・高圧対応の掘削・生産(噴気)の手法、事業性のある掘削・発電技術の開発(持続的に生産が可能な坑井仕様に向けた技術開発、高温・耐腐食性などの特異性を考慮した発電設備のエンジニアリングなど)の課題が挙げられている。
 米Mazama Energy社は、米国の実証プロジェクトにおいて、超高温岩体における水平坑井掘削を含めた掘削技術、高温・高圧条件に耐え得る掘削機材・配管、ケーシング及び、長期的な坑井性能の予測シミュレーションシステムを開発している。

 日本でも新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による技術開発が進み、特定の条件下で10万キロワットの発電が可能だ。発電コストは1キロワット時当たり10.9~18.9円(30年)と試算されている。一方で、高腐食性や高温対応、シリカの析出を加味した技術開発が必要だと整理している。

電気新聞2026年6月22日