経済産業省は、通常国会に提出する改正電気事業法案の大枠を固めた。大規模発電事業者が大規模電源を休廃止する際に一般送配電事業者と事前に協議すると定める。経産相が指定・監督できる卸電力取引所に需給調整市場や、新設を目指す中長期取引市場など対象を広げることも盛り込む。安定供給の確保や卸電力取引の活性化が狙いだ。
電源休廃止は9カ月前に届け出ることになっているが、安定供給の対策が間に合わない恐れがある。系統運用の潮流調整に重要な電源が撤退する場合、他の立地地点で同規模容量の電源を建設しても潮流を維持できない。現行の電事法で求める供給計画では確度の高い休廃止情報が記されており、経産省は休廃止の検討状況から一般送配電事業者に把握してもらいたい考えだ。
安定供給の維持に理解を示す発電事業者でも、電源の休廃止という機微な情報の提出を求められることで懸念も渦巻く。休廃止情報を非公開にするだけでなく、経産省が対策を講じても休廃止が推測されないように情報を取り扱うことが求められる。
競争環境にある発電事業において、電源の休廃止に待ったをかけるような仕組みにならないことも必要だ。容量市場や予備電源制度といった他の制度で対応を求める声もある。
市場運営の健全性を確保するため、電力需給調整力取引所を指定法人化できるようにする。取引量が増加し、調整力の重要性が高まっていることを受けてガバナンスを強化する。現在は前日スポット取引やベースロード市場などを運営する日本卸電力取引所が指定されている。制度設計中で運営主体が決まっていない中長期市場も対象にする。
このほか改正案では、小売電気事業者の登録取消事由に一定期間の休止などを追加する。販売実績のない小売電気事業者を悪用した犯罪を防ぐ狙い。1年間の休眠で剥奪する案があり、他の法制度と整合性をとりながら政府内で検討を進める。
大規模な送電線と電源の整備を電力広域的運営推進機関(広域機関)による貸し付けで促す制度を創設する。経産相が系統や電源の整備計画を認定する。財政融資を活用する。
太陽電池発電設備の設計不備による事故を防ぐため、第三者機関が工事前に支持物などの技術基準への適合性を確認する仕組みを導入する。製品や施工の不良などで事業用電気工作物の事故が発生した場合、設置者による原因究明や再発防止対応に製造事業者や工事業者が協力する措置を設ける。
経産省は改正電事法案の詳細検討を進める。一方、衆院解散を控えて与党との調整が滞り、制度の細部が変わる可能性がある。
電気新聞2025年1月19日





