経済産業省・資源エネルギー庁は23日の有識者会合で、電力システム改革に関する制度設計議論を本格化した。電源脱炭素化に向けた事業環境整備をはじめ、既に別の会合で検討を始めている課題に加え、LNG長期契約の確保や小売電気事業者に求める規律、電源・系統投資のファイナンス確保など新たな検討事項を示した。電力システム改革の検証で安定供給確保という課題が浮き彫りとなり、制度措置を講じる。

 

 新たな会議体として総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電力・ガス事業分科会の下に、「次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会」を設置した。小委員長には東京大学大学院の大橋弘教授が就いた。

 詳細検討の場として小委の下に、「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキング(WG)」を設置する。WGでの検討結果を秋頃に小委に報告する。WGの座長に武蔵野大学の山内弘隆特任教授が就く。

 小委の冒頭、エネ庁の久米孝・電力・ガス事業部長は「システム改革の検証で大きな指摘だったのが、供給力不足の懸念だった」と振り返った。再生可能エネルギーの普及により火力発電の稼働率が低下し、休廃止が進んだ。「次世代の電力システムでは事業者の創意工夫により、安定供給に必要な脱炭素電源を制度的手法で確保する」と話した。

 再エネの普及はLNGの長期契約を結びにくくした。発電事業者や需要家がスポット価格の変動リスクを受けやすくなった。まず電力需要の見通しに対して十分な量のLNGを確保できているか確認し、政策措置を検討する。

 需要家保護の観点から、小売電気事業者のキロワット時の供給能力確保義務を検討する。現在は容量拠出金を支払ってキロワットの確保に貢献するが、過去にスポット市場の高騰により小売料金が高騰したり事業撤退が相次いだりしたため、規律の在り方を見直す。小売りの経過措置料金の解除も論点に挙げた。低圧の最終保障供給を一般送配電事業者が手掛けられるか議論する。

 短期の需給運用を最適化するための市場整備として、需給調整市場を前日取引に全面移行するといった運用改善や、供給力(キロワット時)と調整力(デルタキロワット)を最適に配分する「同時市場」も取り扱う。

 脱炭素化や安定供給には電源や系統への大規模投資が不可欠なため、ファイナンスを議論する。公的な信用補完や政府の信用力を活用した融資などを検討し、事業者への円滑な資金供給を実現する。

 ガスシステム改革の検証やカーボンニュートラル対応を議論する「ガス事業環境整備WG」も新設する。27年3月までに検証を行うことが決まっている。

電気新聞2025年5月26日