電力設備の三次元モデル。知見を蓄積し火力などの点検にも生かす

 Jパワー(電源開発)は、電力設備のドローン点検導入を加速させる。KDDIと協力して社内の相談窓口「ドローンコンシェルジュ」を設置。利活用推進に向けた情報集約を一本化した。これまで送電設備や風力発電設備でドローン点検を導入してきたが、要望の多かった水力発電設備にも適用する。目視点検などと精度を比較し、作業を代替できるかどうかを検証する。効果が大きかった取り組みは他業界からのニーズを踏まえ、サービスとして展開することも検討する。

 JパワーとKDDIが18日、約40カ所の水力発電設備で実証実験を開始したと発表した。架線、保安保護柵、碍子など開閉所設備のほか、配電線、人の出入りが制限される地点、放水口内の点検に利用できるかを検証する。ダム堤体のコンクリート面のクラック、水圧鉄管路の変状など土木設備にも適用する。実証を踏まえ、来年度から順次実用化していく。得られた知見やデータはデータベースに蓄積し、ドローンコンシェルジュを通じて火力など他の電力設備の点検に生かす。

 Jパワーは作業時間短縮やコスト削減を図るため、送電設備の点検にドローンの自律撮影技術を活用。自動航行機能を利用した風力ブレードの点検で実証実験も進め、今年から67基を対象に実用化した。点検時間は従来の10分の1程度に短縮できる。

 KDDIは物流など様々な分野でドローンを遠隔制御するプラットフォームを展開。Jパワーとは電力設備の保守高度化や効率化の取り組みを進めている。

電気新聞2021年11月19日