米オラクルは、行動科学の知見を生かした家庭向け顧客エンゲージメントソリューション「Opower(オーパワー)」を提供している。オーパワーは北米を中心に世界100社以上のエネルギー事業者へ提供。省エネルギー促進をはじめ、顧客満足度の向上や収益拡大、業務効率化にも貢献している。特集ではマシュー・マイヤー・オーパワーソリューション日本・アジア太平洋地域責任者のインタビューを交え、オーパワーの概要や導入事例を紹介する。

顧客エンゲージメントのためのオラクルオーパワーソリューション


◆概要/検針データを分析活用、日本で提供拡大

 2007年に起業した米国のベンチャー企業「オーパワー」はスマートメーター(次世代電力量計)のデータを活用し米国の省エネ規制への対応やピークシフトを支援するプラットフォームを構築・提供した。企業は瞬く間に成長を遂げ、米国を中心に各国のエネルギー事業者へサービスを展開していった。

 13年には東京電力と業務提携するとともに日本法人を設立。東電は低圧顧客向け会員制サイト「でんき家計簿」で、オーパワーのノウハウを活用した省エネコンテンツを作成した。

 オラクルは16年2月にオーパワーを買収し、事業とともに企業名を引き継いだ。オーパワーは現在、世界100社以上のエネルギー事業者が利用し、約2.5兆件の検針データを管理している。

 オーパワーは行動科学に基づいてエネルギーの使用データを分析し省エネ行動につながりやすいデザインを施し顧客に分かりやすく発信する。ソリューションは省エネに限らず高額請求の事前通知や最適な料金プランの提示、顧客応対支援ツールなど多岐にわたる顧客接点の強化を提供する。

 省エネプログラムの参加実績は累計約3300件に達する。日本では17年度から環境省の委託を受けて行動経済学の手法「ナッジ」を基に省エネ情報を発信する実証を開始。実証には東北電力(初年度のみ)、関西電力、北陸電力、沖縄電力、北海道ガスが協力した。

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