[ウクライナショック]識者の見方/東野 篤子氏
避難民ケアや復旧で支援を
東野 篤子氏
筑波大学大学院准教授
SWIFT(国際銀行間通信協会)関連の制裁だけではなく、民間企業までがロシアから次々と撤退しつつあるのは、プーチン大統領にとって想定外だったのではないか。欧州では経済制裁の効果を見る段階に入っており、(一段階上の制裁となる)エネルギー資源の禁輸まで一足飛びには踏み込まないだろう。
エネルギー資源の代替先を探すのは大変で、相当の混乱を覚悟する必要がある。EU(欧州連合)は、近年推進してきたグリーン政策を後回しにしても、エネルギー分野でロシアへの依存を低減させることを最優先課題にするだろう。
ロシアとの間に北方領土問題を抱える日本はこれまで、ロシアとの関係を損なわないことを最優先にしてきた。だが、ロシアに融和的なままだと国際的に日本の評判を大きく損なうとして、自民党内でも毅然とした態度を取るべきという意見が多くなっている。
日本はポーランドなど中東欧4カ国とは継続的に対話を重ねてきた経緯がある。今回のウクライナ問題でも、ウクライナからポーランドなどに入った避難民のケアのような支援であれば、ロシアと対抗的にならずに済むのではないか。ウクライナには、医療援助や将来的な社会インフラの復旧などで支援していくべきだ。
(談)
電気新聞2022年3月9日