収益の大半を需給調整市場から得ている系統用蓄電池の事業モデルに警鐘が鳴らされている。経済産業省・資源エネルギー庁は13日の会合で、蓄電池が拠出できる調整力の応札上限価格が引き下げられ、募集量も減ったほか、調整力としての必要量を2035年度に満たす見通しがあることが、需給調整市場に頼る今の事業モデルに影響する可能性があると指摘。太陽光発電など再生可能エネルギーの電力が余る時に充電し、再エネの出力抑制を避ける「上げDR」での活用促進策を検討する考えを示した。

 13日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループで、エネ庁事務局が再エネの出力抑制に資する蓄電池の活用策を検討する考えを示した。

 政府の導入補助を受けた系統用蓄電池は収益の約9割を需給調整市場から得ている。エネ庁によると、需給調整市場で落札した系統用蓄電池は供給力不足を補う運用が主だ。余った再エネの供給力を充電で吸収する運用は行っていない。第7次エネルギー基本計画は充電で電力需要を増やし、再エネの余剰電力を吸収する蓄電池の役割を示している。エネ庁はこうした役割を蓄電池に求めたい考えだ。

 蓄電池が拠出できる1次調整力など一部の調整力は、調達コストを抑え、応札量の不足を防ぐ目的で上限価格の引き下げや募集量削減といった施策がとられている。エネ庁は13日の会合で、政府補助による系統用蓄電池の導入拡大などにより応札不足の現状は解消に向かうとの認識も示した。

 また、2035年度時点に調整力を持つ蓄電池の導入容量が577万キロワットになるという電力広域的運営推進機関(広域機関)の見通しを引用し、「調整力として必要な容量は満たす可能性が高い」と指摘。需給調整市場に依存した現在主流のビジネスモデルは影響を受ける可能性があると警鐘を鳴らした。

 エネ庁は需給調整市場の代わりに、卸電力取引市場で収益を上げる事業モデルへの移行も促す。取引価格が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電して値差収益を得る。既設蓄電池でも値差収益を得られているデータを示しつつ、さらなる移行策を検討する方針だ。

 13日の会合では、既設低圧機器のデマンドレスポンス(DR)潜在量が300万キロワット以上に及ぶ可能性がある試算も示した。ヒートポンプ給湯器や家庭用燃料電池などを対象に分析した。機器のクラウド接続など、さらに潜在量を増やす施策を検討していく。

 産業分野の施策として蓄熱槽の活用も重視した。余剰電力で熱をため、必要な時間帯に利用する。データセンター(DC)の稼働時間を電力系統の需給に応じて移動させる取り組みも検討項目に示した。

電気新聞2026年10月14日