
中部電力の安井稔社長は8日に名古屋市の本店で就任会見を開き、浜岡原子力発電所の基準地震動(Ss)策定を巡るデータ問題など一連の不適切事案を踏まえ、「まさにマイナスからの船出だ。会社再生に向けた重要な転換点と位置付け、地域の皆さまの信頼を回復し、成長への道筋を付けていくことが私の使命だ」との決意を示した。
安井社長は就任直後の1~2日に浜岡原子力が立地する静岡県御前崎市や隣接3市を訪問。鈴木康友知事とも面会し、再発防止や組織の解体的再構築に向け、覚悟を持って完遂する姿勢を伝えた。
◇危機感が
会見では、地元から地域理解が原子力事業に直結するとの意見に加え、組織再編だけでなく、社内の風通しも含め企業風土を変えてほしいといった要望があったと説明。「皆さまからのご意見や現状に真摯に向き合えるかが問われている。できなければ、原子力事業のみならず、当社自体が事業運営を続けることすらできない」と危機感を募らせた。
新体制の下で、優先課題となるのは組織風土改革だ。データ問題を検証した調査委員会の報告書では、社内に通底する根本原因として、「自分たちは正しいことをしている」とする「独自の正当化理論」の存在を指摘している。
安井社長は、一連の不適切事案は「経営に最大の責任がある」と強調。「経営層から変わっていくことを、結果とともにしっかりとお見せしなければならない」と訴えた。さらに、「実務担当者の課題を経営が認識しておらず、心理的安全性がなかった」ことも要因の一つに挙げた。
◇会長職は
データ問題を受け同社は3、4号機の原子炉設置変更許可申請を取り下げた。一方、信頼回復や再発防止の徹底を前提に再申請を目指す方針を掲げている。安井社長は現在、原子力エネルギー協会(ATENA)が業界標準として作成を進めている地震動評価プロセスのガイドラインの内容も踏まえ、再申請に向けては「もう一回(Ssを)算出するステップがまずはあるだろう」との認識を示した。
現在空席となっている会長職を決めるタイミングにも触れ、「株主総会がデッドラインだ。(外部から招くことを含め)様々な選択肢を考えている」とした。一方、原子力本部から名称を変更する予定の「原子力安全推進本部」の本部長は現在人選中とし、「今年中には決めたい」と述べた。
◆風土改革推進部、専任部長を外部から/10月新設
中部電力は8日、10月1日付で新設した組織風土改革推進部に関して、専任の部長を配置すると発表した。太田卓志執行役員の兼務を解き、横田大氏が11月1日付で組織風土改革推進部長に就く。横田氏は、社外から10月に中部電力に入社。外部人材を専任の部長に配置することで、改革を加速させる。
電気新聞2026年10月9日






