電気技術者試験センター(ECEE、堀尾容康理事長)は電気工事士や電気主任技術者の試験について、コンピューターを利用して受験する「CBT方式」の実施日数を増やす。2026年度は、現行の92日間の1.8倍に当たる168日間に拡大する。結果を踏まえ、今後は自然災害や交通障害に弱い筆記方式を一部残しつつも、原則としてCBT方式を主流としたい考えだ。工業高校へのCBT方式の出前試験も実施する予定で、実現すれば国家試験として前例のない取り組みとなる。(林史子)

 ECEEは2023年度からCBT方式の試験を開始した。受験者数は徐々に増えてきているものの、25年度に同方式を選択したのは第2種電気工事士(上期・下期)で約2割、第3種電気主任技術者(上期)で約4割と依然として低調だ。

 CBT方式は受験者にとって、日程を自由に選び受験できるなど柔軟性が高い利点があり、従来の筆記方式と比べて合格率が高い。資格の種類によっては1~2割以上高くなるという。ECEE側としても、筆記試験は会場の確保や試験問題の用意にコストがかかるなどの課題があった。

 ◇全国で希望募る

 CBT方式の利便性を高める一環として、工業高校などの教育機関との連携を強化する。5月24日に全国工業高等学校校長協会と協定を締結し、同日、岐阜県立高山工業高等学校で初の出前試験を実施する。ECEEが教育機関と協定を結ぶのは初めて。高山工業高校での実施後は、希望校を募り全国に広げていきたい考えだ。

 遠方に会場がある場合、筆記試験のために生徒をバスで送り迎えする学校もある。これまでCBT方式は会場が小さく、一度に大人数が試験を受けられないため利用に二の足を踏んでいた学校もあった。出前試験の導入はCBT方式の選択を後押しする効果が見込める。加えて、工業高校側の利点を増やす観点から、技能試験を終えて余った材料を提供する取り組みも検討している。

 電気工事士と電気主任技術者の受験者数は増加する一方、工業高校で電気を専門的に教える課程は減少。電気主任技術者の資格取得につながる認定校も減っている。さらに、人口減を背景にエネルギー関連分野を目指す若手技術人材の減少が懸念され、電気科の卒業生だけに焦点を置く試験では受験者数の先細りが見込まれる。ECEEは電気を主軸としながら情報系や機械系などにも受験者の幅を広げようと出題の傾向を少しずつ変えるなど工夫している。

 ◇人材育成の一環

 堀尾理事長は「国家試験としての役割を維持しつつ、人材育成の一環として取り組む。利便性を高めるので、ぜひチャレンジしていただければ」と期待を込めた。

電気新聞2026年2月6日