経済産業省・資源エネルギー庁は8日の有識者会合で、新設する中長期取引市場で2028年から取引開始を目指す方針を示した。関連して小売電気事業者に課す供給力(キロワット時)の確保義務について、30年度供給計画から確認を始める。制度開始時には小売電気事業者が30年度供給分の7割、32年度供給分の5割を確保しているか確認する。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループで提案した。

 小規模な小売電気事業者への配慮としてエネルギー供給構造高度化法の基準を参考に、販売電力量が年間5億キロワット時を下回る事業者の義務量を軽減する。具体的には実需給の3年前に2.5割、1年前に5割と設定した。現在の販売量を基にすると対象の小売電気事業者は、販売実績のある事業者の9割程度に上る。一方、全事業者の販売量に占める小規模事業者の販売量は割合は3%程度にとどまる。30年度に制度を開始してから5年間程度の期間限定の措置とする。

 小売電気事業者の中長期の調達手段を整備するため、中長期取引市場をつくる。市場を通じて中長期の電力価格指標が形成されれば、小売電気事業者に調達義務を課しても、発電事業者との相対契約交渉における立場の弱さを是正できるとした。発電事業者にとっても電源投資や燃料調達に関する予見可能性を向上できる利点があると説明した。

 小売電気事業者にキロワット時の確保を求める意義として、より長期的な目線に立った供給力確保を促すと定義した。

 電源投資や燃料長期契約の確保という一義的な目的ではないと整理した。

 今後の論点も示した。供給能力確保義務ではバランシングループなどで他の小売電気事業者に供給力を確保してもらう事業者をどう扱うかや、義務を順守しなかった事業者への対応などを挙げた。

 中長期取引市場では発電事業者に電源投資や維持、運用を含めた入札行動を想定しているため、容量市場との調整が論点となる。先渡し市場やベースロード市場といった既存の類似市場との整理・統合も課題だ。

電気新聞2025年8月12日