これまで2週にわたり、深度1500~2500メートル程度の蒸気熱水を利用する従来型地熱発電とは異なる3種類の次世代型地熱発電(クローズドループ、EGS、超臨界地熱)について、その概要および位置づけについて記載した。地熱発電は2050年のカーボンニュートラルに貢献するエネルギーとして期待されており、推定される次世代型地熱資源の10%にあたる770万キロワットの発電を目指す。しかし、この地熱資源が現実に開発できるか否かは未知数であり、これからの技術開発や制度設計に委ねられている。


 次世代型地熱では、推定される資源量の10%に相当する発電エネルギー(770万キロワット)を2050年までに得ることとしている。

 資源とエネルギーは同様に扱われることが多いものの、資源は人の手を介してエネルギーに変換されるため、同じ資源でもより効率的な開発方法などにより得られるエネルギーは増減する。すなわち、資源量は可能性の数値であり、実際の開発量やエネルギー量をそのまま意味するものではない。

 開発に当たっては、経済性なども考慮する必要がある。地熱資源は地域差が大きいため、その地域での地熱資源の開発方法が大きな意味を持つ。次世代型地熱資源は、資源としての永続性や経済性、効率的な取り出し方法などが未知の資源である。よって、このような不確実性を低減するため、事業者による取り組みとともに、着実で継続的な政府の支援も必要である。

 ◇成熟度向上も必要

 50年の目標を達成するため、官民一体で次世代型地熱が活用できる資源であると確認する技術開発や技術実証を30年までに実施する。次世代型地熱のうちクローズドループとEGSについては、70年代頃から地熱発電として各国で検討が進められた歴史がある。我が国でも「同軸熱交換」や「高温岩体発電(HDR)」技術として技術開発が進められてきた。

 一方、超臨界地熱は3000メートルよりも深部の高温域では、水は気体のように細かなき裂に入り込めて液体のように熱を伝達できる超臨界状態になっていると考えられ、資源としての可能性が指摘されている。ただ、必ずしもその全容が判明しているわけではない。このため、開発目標である技術成熟度レベル6以上に対して、現在のレベルは超臨界地熱は2~4で、他の2つの次世代型地熱の3~5よりも低く想定されている。

 次世代型地熱発電は、将来的には現在の在来型地熱発電のコスト(1キロワット当たり13.8~36.8円)よりも安価な同12~19円を目指す。この目標が達成されれば、770万キロワットの開発に必要投資額は約13兆~21兆円、10年間の経済波及効果は生産誘発額ベースで約30兆~47兆円と試算されている。

 ◇石炭火力22基分に

 二酸化炭素(CO2)は、産業革命以前は大気中に放出される量と森林などでの吸収量がバランスしていた。しかし、化石燃料を用いる急速なエネルギー開発により大気中への放出量が吸収量を上回り、地球温暖化などをもたらしている。

 カーボンニュートラルは、CO2の排出の抑制や大気からの隔離により排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を「実質ゼロ」に抑えることを目標としている。50年に次世代型地熱による発電が770万キロワットとなれば、現在稼働中の石炭火力発電所(1基あたりの平均発電量~35万キロワット)の22基分に相当するCO2の削減が期待できる。

 地球は中心部が6000度といわれており、中心に向かって掘り進めば、求める温度に到達する。しかし、その温度分布はどこでも一様ではなく、高温度域が地表に近ければ近いほどコストを含めた開発可能性は増大する。次世代型地熱発電は、地域格差の大きな未利用の地球の熱資源を利用することから、技術的には発電利用が可能であっても、経済的に採算性に合わない場合もある。

 また、これまでの従来型地熱開発と同様に地域の理解を得て開発を進める「地域との共生」は必須であり、地域の理解醸成のための活動は変わらず求められることも忘れてはならない。(この項おわり)

電気新聞2026年7月6日