経済産業省・資源エネルギー庁は4日の有識者会合で、小売電気事業者に実需給年度の3年前に想定需要の5割、1年前に7割の供給力(キロワット時)確保を義務づける制度を提案した。卸電力市場価格の変動リスクを抑制し、電気料金の変動を抑える狙い。違反すれば小売電気事業者登録を取り消す。小売電気事業者が電力を調達する手段の一つとして中長期取引市場(仮称)の整備も検討する。 

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループで提起した。

 小売電気事業者に課されている供給能力確保義務では、容量市場の容量拠出金支払いが求められている。今回の提案はキロワットだけでなく、新たにキロワット時の確保を命じる内容。発電事業者の販売電力量の予見性を高め、燃料調達の長期契約を維持するとともに電源投資の促進にもつなげたい考え。需要家の電気料金の大幅な変動を抑える狙いもある。

 容量市場で実需給年度の4年前にキロワットを確保していることを参考に、3年前にキロワット時の確保を求める。直近数年の各電力エリアの最低負荷需要や、総需要量に対するスポット市場での取引量を踏まえ、小売電気事業者に求める供給力確保の水準を、実需給の3年前に想定需要の5割、1年前に7割と設定した。キロワット時の確保においてベースやミドル、ピークといった負荷の形式は問わない。

 小売電気事業者によるキロワット時の確保状況を確認する手段としては、届け出が義務付けられている供給計画の活用を検討する。適切に確保していない事業者は、電気事業法に基づき小売電気事業者登録の取り消しとなり得ることを明確化する。

 キロワット時確保は全ての小売電気事業者に求める。小規模事業者には負担が大きくなる懸念があるため、事業者の規模に応じて求める内容に差を設けることも検討する。一部の委員やオブザーバーからは、規模に関わらず一律に義務を課すべきという意見も出た。また、委員の松村敏弘・東京大学教授は「3年後の調達でLNGの長期契約を促せるのか少し疑問だ」と述べた。

電気新聞2025年7月7日