【特集】インテルが描く電気事業の未来(下)

◆インタビュー◆3つの課題を同時解決/変革導く「橋渡し役」に

 ◇インテル執行役員 インダストリー事業本部長・張磊氏

 

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 ――産業別のソリューション提案に力を入れている理由は。

 「インテルはチップを作る会社で、これまではパソコンのイメージが強かったが、デジタル化社会の到来に合わせて戦略を再考した。データを活用し、新しいビジネスモデルを生み出す『データ・カンパニー』を目指している」

 「お客さまと一緒に新しいビジネス価値をどう生み出すかを考え、協力企業と共に、実現のための技術を提案するのが仕事だ。お客さまが成功し、新しい市場が創出されることが当社の成功にも結びつく」

 「取り組みは緒に就いたばかりだが、ITを使ってお客さまが抱える課題を解決できるケースはたくさんある。お客さまの培ったOTと融合すれば、さらに多くのアイデアが生まれると思う」

 

 ――成熟した電力システムを変えるのは難しいのではないか。

 「日本の企業はこれまでニーズに合わせてシステムを作ってきた。それは『職人技』とも言え、品質や安定性に優れる。ただ、閉じたシステムのため柔軟性や拡張性に限界がある。今ではオープンなシステムを安価に導入できる」

 「これは既存のシステムと競合するものではなく、共存できると考えている。例えば、太陽光の急増によって電圧管理が難しくなっている系統の末端など、これまで費用対効果が見いだせなかった部分に新しいシステムを導入すれば、さらに効率的な運用が可能になる」

 

 ――スマートグラスやドローンなど、ハイテク機器も注目されている。

 「強調したいのは、機器は手段に過ぎず、目的ではない。現場作業員にとって最も大事なことは安全だ。その実現のために、ドローンを使って発電所の煙突や山間部の送電線などを点検したり、危険な場所をスマートグラスに表示するなどの方法を提案している」

 

 ――今後、どのような提案に力を入れるか。

 「電力業界は3つの課題に直面している。コストの削減と顧客の流出防止、安定収入の確保だ。できるだけ少ない投資で、これらの課題を同時に解決できる方法があると考えている」

 「電力会社にスマートホームIoTを提案することを疑問に思う方も多いだろうが、これも手段であって目的ではない。我々の推奨するプラットフォームを使えば、宅内で集めたデータから需要を正確に予測し、発電を最適化することが可能だ。また、蓄電池をプラットフォームに乗せることで太陽光の余剰電力も有効活用できる」

 「さらに、プラットフォームを他業界に開放すれば、顧客は多様なサービスを手軽に受けられ、満足度が上がる。電力会社はサービスプロバイダーから得た収入を投資資金に回せる」

 「電力業界を巡る環境は大きく変化し、エコシステム(ビジネス協調関係)を再構築するという新たなステージを迎えつつある。当社の最大の強みは、エコシステムを構成する企業や技術との間を取り持つことができる点だ。『デジタル・ユーティリティー』への橋渡し役となり、新しい市場を作り出したい」

 

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 電気新聞は、インテルが7月19日に開催する「インテル エネルギー × IoT フォーラム 2017」を後援しています。フォーラムの詳細、参加登録はフォーラムホームページ(下記バナー)をご覧ください。

 

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