[ウクライナショック]識者の見方/豊田 正和氏

原子力の最大限活用示せ


豊田 正和氏

 

豊田 正和氏
日本エネルギー経済研究所顧問


 

 国連決議、G7の合意を踏まえ、多くの国がロシアへの経済制裁は不可避と考え日本も参加している。その結果、原油価格が一時的にせよ、さらに上昇するようなことになっても、ある程度はやむを得ない。国際法に違反し、国境を力によって変えるような行為は許されるべきではない。

 エネルギー禁輸が米英から欧州全体まで広がると、供給量が不足する恐れがある。石油危機のように価格上昇だけではなく、量的な問題が起きることを懸念している。

 日本がエネルギー分野で対応することは2つ。1つは、省エネルギーを進め、再生可能エネルギーの導入拡大を図り、原子力の再稼働を急ぐ。2つ目は、産消国間の対話を促し、供給量を増やす努力が必要。エネルギー価格の安定は、産消国双方の利益になる。日本がイニシアチブを取り、石油に限らずガスも含め、国際ルール違反に協力して対応していくことが重要だ。

 原子力発電所への攻撃は問題外で、今回の攻撃と再稼働推進は別次元の話。原子力をしっかり使っていく方向に、国際世論は傾いている。エネルギー安全保障の面で優位な原子力について、安全性を確保しながら最大限活用していく方針を、政府は明確に示す必要がある。

(談)


電気新聞2022年3月11日