
国内のドローン市場は2025年度に約5000億円に達し、30年度には約1兆円規模に拡大する見込みだ。九電ドローンサービス(QDS、福岡市中央区、本田健一社長)は、電気事業で培ったドローンやロボットの最新技術とスキルやノウハウといった知見を活かし、お客さまへ安全・安心なサービスを提供することを目的に誕生した。経験豊富な操縦者が約40人在籍。数多くの最新機体を用い、非GPS環境での屋内点検サービスや屋外自動巡回サービスをはじめ多種多様なサービスを展開。九州から全国へ迅速に対応している。
(1)ドローン市場の最新動向
国内ドローン市場は25年度に約5000億円規模に達した。このうち「サービス」市場は約2700億円であったが、30年度には約5400億円になると見込まれている。(出典:インプレス総合研究所・ドローンビジネス調査報告書2026)
また、日本社会が深刻な労働力不足に直面するという2030年問題に対しドローンは「設備点検時間の大幅な削減」「設備巡視の完全自動化」など生産性を向上させる手段として、あらゆる産業で期待されている。
かつて「空飛ぶカメラ」と目されたドローンが、今や日本の社会インフラを支える重要な存在へと変ぼうを遂げている。
25年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を契機に、地下インフラが抱えるリスクがあらためて浮き彫りとなった。下水道など人が立ち入れない過酷な環境で、ドローン活用の有効性が確認された。ドローンの新たな活用方法の認知が広まりつつあり、今後もより多くの場面でドローンの活用が予想される。
22年の改正航空法施行から数年が経過し、一等無人航空機操縦士による有人地帯での目視外飛行、いわゆる「レベル4飛行」への高度な運用に向けて第一種型式認証の機体開発が本格化している。特に物流、警備、災害対応の分野では、従来の人手に依存した手法からドローンへの代替に向けた実装・実証が進んでいる。
技術面では、AI(人工知能)を内蔵しドローン自らが周囲の状況を判断して飛行する「自律飛行」や自動でドローンの離着陸や充電を行う通称「ドック」が国内で普及しつつある。また、構造物点検の分野でも、ドローンの撮影映像からAIでひび割れや異常を検知・解析する技術も広がっている。
このように、ドローンによる撮影のみならず、撮影したデータからAIによる画像解析を行うといった、ワンストップの総合型ソリューションが必要とされてきている。
(2)九電ドローンサービス設立の経緯
九州電力がドローンを本格的に導入したのは、16年に発生した熊本地震においてドローンの有効性が評価されたのがきっかけである。
その後、発電所やダムなどの高所設備の点検・検証や、イベントPR用の撮影などを通じて導入範囲を拡大。19年7月からは社内で培ったドローンの技術やノウハウを社外のお客さま向けにも提供するサービスを開始した。
さらに、あらゆる社会課題解決に向け、ドローンやロボットの利活用を加速していくため、24年4月に「九電ドローンサービス」を設立した。
(3)事業の特徴と立ち位置
国内では、インフラ設備の老朽化に加え、突発的な地震や豪雨災害、農林業分野での担い手不足など、様々な地域社会の課題を抱えている。
特に、昨今の下水道をはじめとした屋内インフラ設備の老朽化に対する課題に対して、非GPS環境下で飛行可能な特殊ドローンを活用した屋内設備の点検分野に注力している。
そのほか、ドローンやロボット、AI解析を組み合わせた新サービスの開発などを通じて、様々な社会課題の解決に向けた取り組みに挑戦している。
電気新聞2026年5月18日





