2キロまでの荷物の配送が可能な楽天の配送用ドローンを前にする(左から)東京電力ベンチャーズの赤塚社長、ゼンリンの竹川執行役員、楽天の安藤執行役員(12日、ゼンリン東京本社)
2キロまでの荷物の配送が可能な楽天の配送用ドローンを前にする(左から)東京電力ベンチャーズの赤塚社長、ゼンリンの竹川執行役員、楽天の安藤執行役員(12日、ゼンリン東京本社)

 東京電力ベンチャーズ(東京都千代田区、赤塚新司社長)、ゼンリン、楽天は、7月12日、送電線路をドローン物流に活用する「ドローンハイウェイ」の実用化へ共同実証を行うと発表した。楽天が取り組むドローン配送サービス「楽天ドローン」での実装に向け、今年度から3次元地図や気象観測装置を活用した複数のテストコースを開通。安全に飛行できる知見を蓄積するほか、物流や保守・点検などの実験の場としても提供する考えだ。

 3社は6月、埼玉県秩父市山間部の安曇幹線鉄塔4基分、3キロメートルの距離でドローンの目視外自律飛行による荷物配送実験に成功。2020年に楽天のドローン配送サービスでの実装を目指す。拡大予定のテストコースは、これから選定する。

 実証では、ゼンリンによる飛行現場の3次元地図化技術を使い、鉄塔の立体データ作成や送電設備との安全な離隔を取った飛行ルートの生成を実現した。

 東電ベンチャーズは、気象観測機器を鉄塔に設置し、現地の気象解析結果をリアルタイムでドローンに伝える技術を確立。荒天時にドローンをルートから切り離し、退避できる。今後はビッグデータを活用し、ルート生成や管制システムへの情報提供などに取り組む。

 課題は様々な環境での安全な飛行だ。2018年度は無人地帯の山間部から実証に着手。2019年度に都市部など有人地帯での安全性実証を行う。並行して、変電所などを想定したドローンポートでの充電技術の開発と実証も進める。

 実証は、送電線路を対象とした遠隔地への配送を想定。過疎地など人口の少ない地域で低コストな輸送方法の実現を目指す。住宅までの配電線路のルート化は現時点では未検討。現行ドローンが運べる荷物重量(ペイロード)にも限度があり、どのようなサービスが可能かも今後の課題だ。

 共同実証では荷物配送だけでなく、社会インフラの保守・点検など他分野での実装も想定。今後も他企業との連携を模索する。

電気新聞2018年7月13日