需給調整市場の全商品が2027年度からエリアをまたいで広域的に調達されることが決まった。一般送配電事業者は現在、高速で応動する調整力「2次調整力(1)」のみをエリア内で調達している。同調整力が担う周波数制御について、システム改修を経て各事業者が東西エリアで25~26年に広域運用試験を実施。全試験項目を達成し、広域運用を実現したと評価したため、調達も広域化する。エリアを越えて安価な調整力を活用することで、需給調整コストの低減が期待できる。

 電力広域的運営推進機関(広域機関)が15日夕に開いた有識者会合で、27年度に2次(1)の広域調達を始めると決めた。需給調整市場の全商品が、実需給前日に30分コマ単位でエリアを越えて調達されることになる。

 需給調整市場には1次調整力、2次調整力(1)と(2)、3次調整力(1)と(2)という5つの商品がある。このうち2次(1)以外の商品は26年度までに広域調達されていた。

 2次(1)は5分以内の応動が求められる高速の調整力。発電機などは中央給電指令所から送信されるLFC(負荷周波数制御)信号を受けて動作する。このLFCの演算・制御の周期がエリアごとに異なるため、現在は各エリアで調達している。

 まず広域での運用を実現するため、基盤となる広域需給調整システム(KJC)を改修して機能を追加。25~26年にかけ、同じ周波数で交流連系する東地域(東北・東京)と中西地域(中部・北陸・関西・中国・四国・九州)で順次試験運用を行った。

 演算ロジックが正常に機能するか、周波数変動が管理目標以内に収まるか、運用業務に支障をきたさないかといった観点で試験を実施し、いずれの項目も達成。東地域では1月30日、中西地域では4月28日に正式運用を開始している。

 15日の有識者会合では、広域機関が広域LFC運用の影響や効果を分析した結果も報告した。運用開始前後の一定期間を比較すると周波数の変動は同程度で、エリア間で必要量が相殺(ネッティング)される効果も確認した。

 調整力の稼働に伴う電力量(キロワット時)のコストは東・中西地域合計で月当たり約5790万円が低減されたと評価した。

◆メモ/調整力、機能・運用ごとに調達

 一般送配電事業者の分社化以前は、大手電力会社(旧一般電気事業者)が火力・水力など自社電源で需給調整を行っていた。瞬時の周波数変動には発電機自体(自端)で検知・対応するガバナフリー(GF)機能を活用。短周期の周波数変動は中央給電指令所から数秒~数十秒ごとに発信するLFC信号で調整し、より長い時間の変動には数分ごとに発信する経済負荷配分制御(EDC)信号で追従していた。

 需給調整市場の商品区分もこうした機能や運用がベースになっている。GF機能に相当するのが1次調整力、LFCに相当するのが2次調整力(1)、EDCに相当するのが2次(2)と3次(1)で、それぞれ応動・継続時間が異なる。3次(2)は再生可能エネルギーの予測誤差対応という近年生じた役割を担う。

 LFCはエリアごとに必要量の演算・制御周期や信号方式などが異なり、開発中の次期中給システムで仕様が統一される予定。2次(1)の広域運用・調達はそれに先立ち、エリアを越えたメリットオーダー(経済性の順)での活用を実現する。

電気新聞2026年9月17日