トリチウムの基本Q&A

天然に存在するトリチウムも、原子力発電所で発生するトリチウムも原子としては同じで、違いはありません。天然か人工かで区別して心配する必要はありません。
放射線を出す能力は「ベクレル」という単位で表されます。福島第一原子力発電所から発生したトリチウムは、約780兆ベクレルです※8※9
天然のトリチウムは年に約7京(7万兆)ベクレル発生し、地球上には100京~130京(100万兆~130万兆)ベクレルが存在しています=図6参照。
国などが定めた排出基準を守った上で日本全国の原子力発電所から海に放出されていたトリチウムは、合計で年に約380兆ベクレルでした※10。放出されたトリチウムは海水でうすめられます。原子力発電所の近くの海で測ったトリチウム濃度は海水1リットルあたり最大で21ベクレル※11。世界保健機関(WHO)は、飲料水のトリチウム濃度を1リットルあたり1万ベクレル以下にするよう提案していますが、それよりも十分に低い値です。

図6 地球上に存在する天然のトリチウムと福島第一原子力発電所のトリチウム

原子の数はとんでもなく膨大

様々な物質を形作る「原子」や「分子」の数がどれほどあるかご存じですか? おちょこ1杯の水(18グラム)に、水分子(H2O)は「600,000,000,000,000,000,000,000(6×1023)」個も存在するのです。単位で表すと6000垓(がい)。1兆の6000億倍です。原子や分子の数はこのように、普段の生活とはケタ違いに大きな数になります。

放射性物質の量を表す単位「ベクレル」は、1秒間に放射線を出して変化する原子の数を表した単位です。「自然界のトリチウムは100京〜130京(100万兆〜130万兆)ベクレル」などと聞くと多く思えますが、原子の世界ではとても少ない数なのです。福島第一原子力発電所のALPS処理水に含まれるトリチウムは約780兆ベクレルですが、トリチウムを含む水としての重さはわずか約15グラムです。
※赤字部分を2023年11月に修正しました
※8
2021年4月時点
※9
海外と比較すると、例えば、フランスのラ・アーグ再処理施設のトリチウム放出量は年間で約1京(1万兆)ベクレル(2021年、液体・気体合計)。
※10
福島第一原子力発電所事故前5年平均。出典:JNES「原子力施設運転管理年報」
※11
2010年度はND(検出下限以下)~21ベクレル、2015年度はND(検出下限以下)~2.6ベクレル。出典:2016年度海洋環境における放射能調査及び総合評価(海洋生物環境研究所)

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