トリチウムの基本Q&A

放射線の正体は、目に見えない粒子や光(電磁波)です。高いエネルギーを持ち、物体を通り抜けたり、生物の細胞を傷つけたりする力があります。アルファ線、ベータ線、エックス線、ガンマ線、中性子線などの種類があり、種類によってエネルギーの大きさ、物体を通り抜ける力(透過力)が違います※6
人間は人工的に放射線をつくり出し、その高いエネルギーや透過力を生かして、医療・工業・農業など様々な分野で利用しています。天然の放射線(自然放射線)も存在しており、わたしたちは宇宙や大地、空気中、食べ物などからの自然放射線を日常的に受け続けながら暮らしています=図5参照。意識していないだけで、実は放射線は身近な存在なのです。

図5 放射線は身近なところに存在しています

暮らしを豊かにする放射線

放射線と聞くと「目に見えなくて怖い」と感じる方も少なくないでしょう。しかし、放射線は医療・工業・農業など様々な分野で利用され、わたしたちの暮らしを豊かにしています。放射線や放射性物質はしっかりと管理され、危険がないようにして使われています。
例えば農業分野では、果物や花の品種改良や害虫の防除、ジャガイモの芽止め(発芽を止めること)などに放射線が利用されています。こうした農作物を口にしても、もちろん健康に影響はありません。
工業分野では、強度を高めたラジアルタイヤや耐熱性を高めた電化製品のコードの製造などに使われています。
医療分野では、放射線や放射性物質を利用した診断や治療が日常的に行われており、患者さんへの負担が少ない診断・治療技術が次々と開発されています。「陽子線・重粒子線がん治療」もその一つです。陽子線・重粒子線といった放射線は、がん細胞を狙い撃ちすることができます。これらの放射線を使った治療法は患者さんにとって負担が少なく、通院治療も可能です。
※6
透過力の大きいエックス線やガンマ線は、放射線診断・治療や、機械部品・構造物の非破壊検査などに利用されています。

この記事をSNSでシェアする

TOP

TOP