電力会社や鉄道会社、自動車メーカーが所有する変圧器は、設置から30年以上が経過した製品も少なくない。健全性を維持した変圧器をより長期間利用するには、状態監視計測の技術が欠かせない。フィンランドに本社を構えるヴァイサラは、絶縁油の異常ガスを常時監視できる「絶縁油中ガス・水分オンライン監視装置」(OPT100)を販売。解析の正確性、導入の容易さなどを強みに世界各国で採用実績を増加させている。本特集では、変圧器の常時監視に関わる業界動向について、同社のセーニャ・レイヴォ氏に解説してもらうとともに、OPT100の導入事例を紹介する。

◆OPT100の機能
 ◇正確な判別にこだわり/安定供給に大きく貢献

電力用変圧器に設置されたOPT100
  電力用変圧器に設置されたOPT100

 ヴァイサラが販売している絶縁油中ガス・水分オンライン監視装置(OPT100)は、油中の異常ガスの正確な分析、設置容易性、メンテナンスフリーが強み。ガスを正確に分析することは、変圧器の健全性の把握につながり、改修・交換時期の判断材料となる。装置内の部品は可動部分がないためメンテナンスも不要。部品取り換えの必要もなく、ランニングコストを低減できる。
 油の分析は、絶縁油からガスを真空抽出し、赤外線センサーで計測する。ガスによって吸収する赤外線の波長が異なる特性を利用して、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、水素の含有量を判別。広範囲のIR(赤外線)波長をスキャンし、IRの吸収と吸収時のピークの形状を分析するため、検出されたガスの濃度を個別に算出できるのでより正確な計測が可能となる。これら7種の異常ガスを分析すると変圧器内部の異常を特定できるという。
 7種のガス量をそれぞれ正確に判断できるため、ドリフト原因を排除しきれていない製品のほか、異常ガスの量を総量やおおよその量で感知する技術を用いた監視機器で「頻繁に誤警報がなる事例があった」(関係者)という。こうした問題点を解決している。
 設置が容易な点も強みだ。従来の計測装置を変圧器に設置するには、ケーブル接続、ケーブル内のエアー抜きなどの作業が必要となる。OPT100の場合は時間を要するエアー抜きを装置が自動で実施。従来1日~1日半必要だった設置工事の時間を半日程度にできる。

荒井 良隆氏
  荒井 良隆氏

 メンテナンスフリーは、ドリフトの影響を排除できる計測技術やステンレスの部品を採用したことなどで実現。OPT100の耐用年数は約15年としているが「その間はほとんど内部を操作する必要がない」とは産業計測営業本部ビジネスデベロップメントマネージャの荒井良隆氏。また停電時も自動復旧する機能が備わっており、問題なく通常運転に戻ることが可能だ。
 荒井氏は、「安定供給に大きく貢献できる装置であり、世界の実績を国内でも生かしていきたい」と話している。

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