関西電力 高市和明氏(左) インテル 張磊氏(右)
関西電力 高市和明氏(左) インテル 張磊氏(右)

 電力業界でもデジタル化の流れが一気に加速した。ビッグデータを分析し、コスト削減や新規事業創出に生かそうという試みが広がってきた。分散型電源の急増などを背景に新たなビジネスモデルの構築が求められる中で、デジタルイノベーションをどう実現するか。関西電力電力流通事業本部副事業本部長・ネットワーク技術部門統括の高市和明氏、インテル執行役員・インダストリー事業本部長の張磊氏、電気新聞編集局長の間庭正弘が鼎談した。
 


<出席者>
関西電力電力流通事業本部副事業本部長・ネットワーク技術部門統括 高市和明氏
インテル執行役員・インダストリー事業本部長 張磊氏
電気新聞編集局長 間庭正弘


 
 

■大規模集中型から分散型へ

 

従来型モデルは変革が迫られている。制度や都市機能も含めた議論が必要だ

 

間庭 この1年間で「IoT」「デジタル」といった言葉が急速に浸透した。業界の変化をどう感じるか。

関西電力電力流通事業本部副事業本部長・ネットワーク技術部門統括 高市和明氏
関西電力電力流通事業本部副事業本部長・ネットワーク技術部門統括 高市和明氏

高市 大規模集中型電源から一方通行で電気が流れるという前提が崩れつつある。その認識は広まりつつあり、特に託送部門は敏感に感じ取っている。

 会社によって温度差はあるが、多くの方が変化の必要性を指摘している。分散型電源が増加し、現在のビジネスモデルを維持できるか危機感を感じておられるのだと思う。

間庭 従来型ビジネスモデルの破壊は現実味を帯びつつあるのか、将来シナリオの一つにすぎないのか。

高市 個人的には「来るかどうか」ではなく「いつ来るか」だと思う。少子高齢化で過疎化が進むと配電線を維持することが難しくなる。独立分散型のシステムに移行する可能性はある。道路や行政サービスも同様の問題を抱えており、法的枠組みや都市機能の在り方を含め、一体的に議論する必要がある。

間庭 デジタル化はあらゆる産業に一気にビジネスモデルの変革をもらたしている。

 

電力会社のビジネスモデルは「破壊」ではなく「進化」

 

インテル執行役員・インダストリー事業本部長 張磊氏
インテル執行役員・インダストリー事業本部長 張磊氏

 電力会社のビジネスモデルは「破壊」ではなく「進化」だと思う。電気を届ける仕事そのものは社会インフラを支える重要な役割であり、今後も継続されるからだ。その進化が早い要因の一つは技術の進歩にある。新しい技術を誰でもオープンに使える状況になったことが大きい。

間庭 日本の電力システムの一部は職人的な技術によって独自の進化を遂げたが、デジタル化という大量生産技術はどこまで便利なのか。

高市 職人技の典型は配電自動化システムだ。独自の通信方式と制御ロジックが組まれ、セキュリティー上は強いが、他に応用できない。デジタル化が進んだ今は、熟練の職人を育てなくても、標準化された技術の組み合わせによって大部分の機能を実現できる。

 職人技が否定されたわけではない。オープン化によって職人同士の競争が生まれ、進歩が早くなる。インテルも基礎技術をオープン化することで誰でもパソコンを作れる状況を生み、コストを削減してきた。

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