2017年10月22日日曜日
電気新聞
新聞購読案内 電気新聞デジタル

産業・技術

メーカー各社、ワイヤレス給電システムの開発加速

2017/10/10  4面 

 三菱電機が試作したワイヤレス給電システム用コイル

三菱電機が試作したワイヤレス給電システム用コイル

◆EV普及に一役、18年にも国際規格の大枠固まる

 電気自動車(EV)向けワイヤレス給電システムの開発が加速している。ケーブルを抜き差しする手間が省けるため、EV普及に一役買うことが期待できる。2018年にも国際規格の大枠が固まるとみられるEV向けワイヤレス給電システム。実用化に至れば国内だけでなく世界からも需要が見込めるだけに、メーカー各社は商用化に向けて開発を急ぐ。(山内 翼)

 ワイヤレス給電システムを開発するのはEV向け充電設備やEV以外のワイヤレス給電製品を手掛けるメーカーだ。その中でダイヘンは07年からワイヤレス給電の研究に着手し、11年頃から開発を本格化した。同社が採用するワイヤレス給電方式は「磁界共鳴方式」と呼ばれるもの。電動歯ブラシやスマートフォンなど小型機器の充電に用いる「電磁誘導方式」に比べて、より遠くまで電力を伝送できる点が特長だ。

 同社が得意とする半導体製造装置用電源の製品開発で培った高周波制御技術も活用。受電側と給電側でコイルの位置がずれても電力の伝送効率を落ちにくくした。

 16年には無人搬送車(AGV)向けのワイヤレス給電システムを実用化。自社の六甲工場などで導入し、社外からも200件以上の引き合いがあるという。これらの技術を基に現在はEV向けワイヤレス給電システムの試作機を製作中。「年内には自動車メーカーに評価してもらう予定」(ワイヤレス給電システム部)だという。

 三菱電機はIHクッキングヒーターや太陽光発電用インバーターなどを手掛けるパワーエレクトロニクス部門が10年頃からワイヤレス給電の研究を開始。当初は系統電源からEVが受電するだけの方式を検討していた。

 だが13年頃には方向性を切り替え、系統電源とEVが双方向で電力をやり取りするシステムの開発に取り掛かった。同社がEVから宅内へ給電する「V2H」システムの製品化を進めていたことが理由だ。双方向の伝送技術は開発が進み、16年には系統電源とEVの間で3キロワットの電力を伝送できる「双方向ワイヤレス電力伝送技術」の開発に成功。系統電源側とEV側の双方に載せるコイルの回路構成を対称にすることで、送電か受電かを任意で切り替えられるようになった。

 送電側と受電側の交直変換装置を同時に制御する独自制御方式も採用したことで、双方向の伝送効率を引き上げた。系統側とEV側のコイルが15センチメートルずれても、送った電力の84%以上を受電できるようになった。

 双方のコイルで位置ずれがない場合と比べて充電完了までの時間は10分ほど長くなるだけ。先端技術総合研究所の浦壁隆浩・パワーエレクトロニクス技術部門統轄は「問題なく実運用できるレベルまで到達している」と胸を張る。20年以降の実用化を目指している。

 系統側とEV側双方の充放電機器事業を拡大させたいニチコンは7月に、米通信技術関連大手クアルコムとワイヤレス給電システムの通信技術などに関するライセンス契約を締結した。ニチコンのNECST事業本部は「(ワイヤレス給電システムの)通信技術は当社が持っていない分野。開発のスピード感を考えた」と提携した理由を説明する。

 まずは自動車メーカーと協力し、充電器やコンバーター、コンデンサーといった製品開発で知見を蓄えた電源ユニットから開発を始める方針。「19年をめどにEV側と系統側の双方で試作品を作製したい」(NECST事業本部)と意気込む。 



>>この記事の続きは『電気新聞』本紙または『電気新聞デジタル』でお読みください

同じカテゴリーの最新記事