2017年10月23日月曜日
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“デブリ撮影”成功、東芝が振り返る/福島第一3号機内部調査

2017/09/25  4面 

内部調査を担当した浅野、松崎、露木の各氏(右から)

内部調査を担当した浅野、松崎、露木の各氏(右から)

◆想定より激しい損傷/様々な環境で訓練

 東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉格納容器に水中遊泳ロボットを投入する内部調査が7月に行われた。1~3号機の調査を通じて溶融燃料(燃料デブリ)とみられる物体の撮影に初めて成功するなど大きな成果を残した。ただ格納容器の内部損傷が激しく、目的物を撮影するためのロボット操作は困難を極めた。ロボットの開発と調査を担った東芝の技術陣は、いかにして難局を打破したのか。燃料デブリ撮影の秘策を東芝技術陣とともに振り返る。(工藤 勇祐)

 東芝は国際廃炉研究開発機構(IRID)の一員として3号機の内部調査を行った。1~2月に実施した2号機の内部調査は自走式ロボットを使ったため、堆積物に行く手を阻まれて目標地点まで到達できなかった。東芝の技術陣は悔しさでいっぱいだったのだろう。2、3号機の調査を統括した浅野真毅・原子力福島復旧・サイクル技術部グループ長は「3号機の内部調査を成功させて東芝の技術力を何としてでも見せたかった」と強調し、今回の調査結果は「200点だ」と胸を張る。

 3号機は格納容器の底から約6メートルの高さまで水がたまっており、水中を調査する必要があった。東芝は福島第一事故以前に水中移動できる炉内点検装置を実用化していたため、これを基に新たな水中遊泳ロボットを開発した。

 水中遊泳ロボットは障害物を避けて移動できる利点がある。動き方の自由度は高い半面、ロボットの現在地や進行方向を正確に把握するのは難しい。そこで3号機の内部調査は、コンピューター利用設計システム(CAD)で描いた図面と周辺構造物を付け合わせながらロボットを先に進ませることにした。

 調査を開始し、ロボットを3号機内部に投入。ロボットが撮影した映像を見たとき東芝の技術陣は頭を抱えたという。想定よりも損傷が激しかったからだ。

 ◇位置判断できず

 特に圧力容器直下の「グレーチング」と呼ばれる作業用足場は崩れ落ちていたほど。格納容器内部の状況は事故前と比べて様変わりしていたため、東芝の松崎謙司・プラントサービス・応用技術開発部主査は「周辺構造物からロボットの位置を判断できる状況ではなかった」と述懐する。

 松崎主査らは調査計画を練り直し、ロボットの機体後部に取り付けたカメラを現在地の確認に用いることにした。ロボットの遠隔操作用ケーブルの状態を後部カメラで把握できるからだ。ケーブルの状態と、送り出したケーブルの長さを手掛かりに現在地を見定めることにした。

 「正直不安はあった」(松崎主査)ものの、ロボットが送る映像を遠隔操作室にいた関係者全員で分析しながら現在地と進路を判断。慎重にロボットを先へ進め、計3日間の調査を無事に終えることができた。

 成功の秘策は「目を閉じていても操作できるほどロボット操作の習熟度を事前訓練で高めたことだ」と松崎主査は振り返る。2カ月ほどかけた事前訓練は様々な悪条件を想定して行ったからだ。

 模擬施設の狭い隙間をくぐり抜けたり、通信状態が悪くて実際の状況と手元の映像にずれがある中でロボットを操作したりした。ロボットのスクリューが堆積物を巻き上げて視界を遮ることも想定。水槽に入れた粉を沈殿させた状態でロボットを動かし、粉を巻き上げないような運転方法も身に付けた。様々な環境下で訓練を繰り返したことが功を奏し、不測の事態にも対応できたのだ。

 東芝は現在、今回の調査結果を詳細に分析する作業を進めている。燃料デブリとみられる物体や構造物が崩れ落ちた理由といった追加の情報が得られれば、2021年内の開始を目指す燃料デブリ取り出し作業の準備を進めやすくなる。

 ◇リスク低減に力

 内部調査や燃料デブリ取り出しのシステム設計を担当する露木陽・原子力機械システム設計部グループ長は「リスク低減を最優先させながら粛々と廃炉を進めたい」と力を込める。廃炉ロボットの開発は技術者の腕の見せどころ。松崎主査も「なるべく人が関わらずに遠隔で作業できる装置を開発したい」と意気込む。廃炉作業を着実に進められるかどうかは、東芝をはじめとする各社技術陣の双肩にかかっている。



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