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東電HD、提携戦略の行方が混沌/他電力、対応ためらう

2017/09/22  1面 

◆国の政策議論も進まず/経産省主導による業界再編に反発も

 東京電力ホールディングス(HD)が進める送配電事業、原子力事業の提携戦略の行方が混沌(こんとん)としてきた。送配電事業では経営統合を目的化せず、分散型電源の拡大や電力需要の減少を見据えたプラットフォームの構築、海外展開など、互いにメリットがある課題で他電力の協力を求める方向だが、理解を得られるか不透明だ。原子力事業の提携も進展がみえない。提携を後押しするような国の制度議論が進まないことも、他電力が対応をためらう背景にあるようだ。

 送配電、原子力の再編・統合は、経済産業省の東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)が昨年末まとめた改革提言の柱。その後、東電HDと原子力損害賠償・廃炉等支援機構(賠償廃炉機構)が策定し、5月に国が認定した新々・総合特別事業計画(新々総特)では、早急に他電力と意見交換を始め、秋をめどに具体的な進め方を決定すると記載した。

 一方、ここにきて賠償廃炉機構、東電HD双方の関係者から、秋に明確な成果を示すのは難しいという声が出てきた。進捗確認の時期として関係者が意識するのは11月下旬。ただ、経産省が東電委員会を使い、他電力の頭越しに業界の再編・統合を打ち出したことへの不信はいまだ強く、東電HDが各社と対話を進める障害になっているという。

 東電HDは、他電力の警戒を払拭しようと懸命だ。送配電事業は東電パワーグリッド(PG)が中心になって、将来の事業環境変化を見据えたプラットフォームビジネスやシステム開発、効率化など、送配電事業者が共通して抱える課題について、個別に他電力への協力を呼び掛けようとしている。

 東電HD側は年内に複数の課題で提携パートナーを募るプロセスを始めることも視野に入れる。だが、他電力関係者からは提携の効果自体を疑問視する声が多く、予定通り進むかは分からない。

 また、送配電事業については別途、電力業界大で検討の場を設け、共通課題への対処を図ろうという動きも進んでいるが、東電HDの提携戦略とは微妙な温度差があり、先行き不透明感が強まっている。

 原子力事業の提携を巡る議論も順調とは言いがたい。東電HDは建設開始直後に東日本大震災が起き、本格工事を中断している東通原子力発電所の共同開発を志向する。巨額の投資が必要になる新規プラント開発は民間だけでは厳しく、国の支援策が不可欠とされるが、肝心の政策議論が遅々として進まず、提携機運は盛り上がっていないようだ。

 送配電事業でも、現行制度とのミスマッチが提携議論を阻害している面は否めない。現在の託送料金制度は、東電PG以外の送配電事業者が他社との提携などを通じて効率化を進め、追加利益を出した場合、値下げを求める仕組みだ。

 他電力からすると、託送料金を値下げしても、自社の小売部門が有利になるわけではなく、東電HDとの提携に乗り出すメリットが少ない。積極的な効率化努力に対するインセンティブをどう設定するかは、再編・統合の成否につながる隠れた課題といえそうだ。



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