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米で皆既日食、系統安定へ備え強化/太陽光の大規模な出力減少懸念

2017/08/21  1面 

◆900万キロワット超低下予想も/代替供給力を確保

 米国全土で1979年以来、38年ぶりとなる皆既日食が21日(日本時間22日)に観測される。太陽光発電の導入量が急増したため、晴天なら日食時に発電出力が減り、安定供給に悪影響があるとの懸念もあるが、電力業界が設立した北米電力信頼度協議会(NERC)は需給調整市場の活用などで「代替供給力は確保でき、系統信頼度は下がらない」との評価をまとめた。北東部の地域送電機関PJMや、全米で最も太陽光発電導入量が多いカリフォルニア州の独立系統運用機関(CAISO)も、それぞれ準備ができていると表明している。

 NERCによると、月が太陽を覆い隠す皆既日食は西部のオレゴン州で午前10時15分(太平洋沿岸標準時間)に始まり、大陸の東側へと移っていく。最後は南東部のノースカロライナ州で午後2時45分(東部標準時間)に観測される。観測時間が最も長いのは中部のイリノイ州で、午後1時19分頃(中部標準時間)から2分40秒程度と予測している。

 海外電力調査会によると、米国の太陽光発電の導入量は2000年にはわずか5千キロワットだったが、16年に約4260万キロワットまで増加した。皆既日食による全米規模の出力減少量について、米ブルームバーグは最大で16年導入量の約2割に相当する900万キロワット以上と試算している。出力減少により需給調整市場の電力価格が高騰する可能性もあるが、21日の天候にもよりそうだ。米予報サイトの週間予報(18日時点)では、21日は西海岸で晴れ、残りの地域は曇りとなっている。

 西海岸のカリフォルニア州では、皆既日食の時間が午前10時22分と、ピーク時間帯は回避できるものの、全米最大の太陽光発電導入量が影響し、出力減少予測量は大きい。同州の独立系統運用機関(CAISO)は電力系統に連系している発電設備について、同時間帯の出力は最大875万キロワットになるが、皆既日食の影響でこの6割強に当たる561万キロワットの出力が最大で減り、314万キロワットまで落ちる可能性があると予測した。自家消費型の住宅用太陽光発電設備も大きな影響を受けるとみる。

 だが、CAISOは5月の段階で、発電事業者が需給調整市場に拠出する調整力の活用など、10項目の安定供給維持策をとる準備ができていると表明。「系統信頼度は損なわれない」とコメントしている。

 北東部13州と首都ワシントンを管轄するPJMは、管轄エリアで皆既日食が観測される午後1時半~3時40分の間、太陽光発電の出力が最大250万キロワット減る可能性があると予測している。内訳は住宅用の発電設備が同200万キロワット、系統に連系した発電設備が同50万キロワット。ただ、この出力減少予測量は、PJMが管理する供給力1億8500万キロワットの1%未満にとどまるとも指摘。最高経営責任者(CEO)のアンドリュー・オット氏は7月末の声明で、安定供給への準備はできているとコメントした。

 米国で、次の皆既日食は7年後の2024年に観測される。PJMは21日の系統運用で得る経験を生かすとしている。



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