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東電福島第一3号、広範囲に溶融物/内部調査が完了

2017/07/25  1面 

ペデスタル下部の中心付近で撮影された燃料デブリとみられる物体。厚さ約1mとみられる(IRID提供)

ペデスタル下部の中心付近で撮影された燃料デブリとみられる物体。厚さ約1mとみられる(IRID提供)

◆デブリ取り出し工法絞り込みに焦点
 東京電力ホールディングス(HD)が実施した福島第一原子力発電所3号機格納容器内部調査で、溶融した燃料と構造物が混ざった「燃料デブリ」とみられる物体が広範囲に存在する状況が判明した。調査は19日から22日まで計3回実施。格納容器の内部調査は1、2号機でも実施しているが、燃料デブリとみられる物体が見つかったのは初めて。国と東電HDは1~3号機の燃料デブリ取り出し方針を近く決定する。(工藤 勇祐)

 3号機では、溶け落ちた燃料を冷却するために注いでいる水が、格納容器の底から約6メートルの高さまでたまっている。このため、国際廃炉研究開発機構(IRID)と東芝が水中を泳ぐロボットを開発した。

 ◇事故後初めて

 3号機の格納容器に投入された水中ロボットは、原子炉圧力容器を支える土台「ペデスタル」の内部の状況を事故後初めて捉えた。19日と21日にはペデスタル上部、22日にペデスタルの底部の状況を撮影した。

 このうち、21日の調査ではペデスタル上部の壁付近に何らかの溶融物が折り重なるようにして固化したとみられる物体を確認。圧力容器の真下にある制御棒駆動機構(CRD)下部でも溶融物が棒状に固化している様子が確認された。

 22日にはペデスタルの下部を調査。ペデスタル底部の中央付近で、厚さ約1メートルの岩状の塊があることを確認した。砂状、小石のような堆積物が広範囲に分布していることも確認された。東電HDは、これらについて「燃料デブリの可能性が高い」との見解を示した。

 燃料デブリとみられる物体が、ペデスタル地下階の開口部から外側に広がっているかどうかは、開口部周辺に落下した構造物が堆積しており、確認できなかった。

 3日間の調査では、本来はペデスタル上部にあるはずの作業用の足場が落下していることが確認された。CRDの支持金具が一部脱落していることも判明した。今後、東電HDは得られた画像データの分析を行い、ペデスタル内の状況を詳細に確認するとしている。

 今後の焦点は、完了まで30~40年かかるとされる廃炉作業で、最大の難関である燃料デブリの取り出し手法の絞り込みだ。

 国と東電HDは、今夏にも1~3号機の燃料デブリの取り出し方針を示す。その後は、2018年度上半期に初号機の燃料デブリ取り出し方法を決め、21年中に初号機の燃料デブリ取り出しを開始する計画だ。

 燃料デブリの取り出し工法は大まかに、格納容器の大部分を水で満たして取り出す「冠水工法」と、燃料デブリの一部が気中に露出した状態で取り出す「気中工法」に分けられる。冠水工法は漏えい箇所を止水する必要があるものの、放射線を遮蔽するとともに、放射性物質の飛散リスクを低減できるなどのメリットがある。

 燃料デブリとみられる物体が初めて確認された3号機は、格納容器の底から約6メートルの高さまで水がたまっている。東電HDは「水のメリットをどう生かせるかは今後の検討に入ってくるだろう」としている。

 ◇分布把握が鍵

 廃炉の技術開発を担当するIRIDでは、冠水工法を実現するための技術開発とともに、気中工法で使う装置の開発も進めている。気中工法では、格納容器の側面に穴を開け、ロボットアームで燃料デブリを取り出す技術などを開発中だ。

 今回の3号機の調査では、格納容器の側面からペデスタル内へとつながるルートに大きな障害物がないことが確認されており、こうした情報も取り出し方針に反映されることになる。

 ただ、最終的な工法決定には、より詳細な調査が欠かせない。1、2号機については、まず燃料デブリの分布を把握する必要がある。3号機については、ペデスタルの外に燃料デブリが広がっているかどうかが判明すれば、工法決定に向けて有用な情報となる。

<燃料デブリ取り出しのスケジュール>
2017年夏頃   号機ごとの取り出し方針の決定
2018年度上半期 初号機の取り出し方法の確定
2021年内    初号機で取り出し開始



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