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東芝の英原子力建設事業、先行きに不透明感強まる

2017/05/31  4面 

◆送電線建設の許認可手続きが停止

 東芝子会社だった米ウエスチングハウス(WH)の米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用申請を受け、東芝の英原子力建設事業が揺れている。東芝は同事業を売却する見通しで、韓国電力などが買収に関心を示している。同事業の先行きに不透明感が強まっていることから、英系統運用事業者のナショナルグリッドが同事業向けの送電線建設の許認可手続きを停止するなど余波も広がってきた。

 東芝が60%、仏エンジーが40%を出資する英原子力事業会社ニュージェネレーション(ニュージェン)は、WHの最新中型炉「AP1000」を英国に3基建設する計画を進めている。初号機運開は2020年代半ばの予定だ。東芝はエンジーが持つ全ニュージェン株を取得すると4月に発表した。WHの破産申請に伴い、株主間契約に基づいてエンジーから買い取りを請求されたためだ。支払いは6月末までだが、まだ完了していない。

 東芝はWH破産申請の原因となった米原子力建設事業で巨額損失が発生したため、海外の原子力建設事業から撤退する方針。ニュージェンについては英国政府など関係者と協議しながら売却を含め検討している。

◆売却先は韓国電力が有力

 ニュージェンの売却先としては韓国電力が有力視されている。英国の原子力事情に詳しい日本の原子力関係者は「7~8割方、韓国電力だろう」との見方を示す。中国の国家電力投資集団(SPI)傘下の国家核電技術(SNTPC)も買収に関心を示しているとされる。

 韓国電力やSNTPCがAP1000の代わりに独自開発炉を採用する場合、あらためて炉型審査を受ける必要があるとみられる。しかし審査には時間がかかるため、「原子力新設を急ぐ英国政府が炉型変更を受け入れるかは分からない」(同関係者)。

 SNTPCはAP1000の設計をベースにした第3世代炉を開発してきた。日本の専門家からは「中国の他原子力事業者が手掛ける華龍1号と比べてSNTPCの第3世代炉は出遅れている。ニュージェンへの参画は巻き返しのチャンスかもしれない」との見方も出されている。一方で「英国のメイ政権は自国のインフラ産業で中国の存在感が強まりすぎることを懸念しており、中国勢の参画は難しい」(前出の原子力関係者)と指摘する声もある。

 株主変更の可能性などニュージェンを巡る流動性が高まっているため、ナショナルグリッドはニュージェンが建設する原子力発電所向け送電線建設計画の許認可手続きを中断した。英国メディアに5月に明らかにした。ナショナルグリッドは全長約160キロメートルに及ぶ送電線を建設する計画。約28億ポンド(約4千億円)を投じる巨大プロジェクトだけに、情勢を見極めたい考えという。



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