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電源脱落と周波数低下の相関に変化/想定超す変動、リスク拡大

2017/04/26  1面 

◆大型連休に懸念/太陽光急増が影響か

 一般送配電事業者が把握できる電源の脱落量と周波数変動量の関係性が変化しつつある。昨年と今年、西日本エリアで発生した基幹送電線の2回線故障では、電源脱落量から推定される以上に周波数が低下した。太陽光発電の急増が影響した可能性があり、一般送配電事業者を中心に調査を進めている。西日本エリアでは昨年5月のゴールデンウイーク期間中、太陽光の出力が電力需要の約4割を占めた。このまま太陽光が増え続けると事故の影響が拡大する恐れもある。(編集委員・小林 健次)

 東西の一般送配電事業者は過去の経験やシミュレーションを基に、電源脱落量と周波数変動量の相関関係を把握している。周波数を一定に保つための重要な指標で「系統特性定数」と呼ばれる。例えば周波数が1ヘルツ低下した場合、電源のたき増しや負荷の抑制をどの程度行えばいいのかが分かる。

 ところが最近、この相関が薄れつつある。昨年9月に発生した中部電力幸田碧南線の落雷事故では288万キロワットの供給力を喪失し、周波数が0.7ヘルツ低下した。今年2月に起きた上越火力線事故の影響も同規模だったもようで、従来の傾向に比べて周波数の下がり幅が大きいことが確認されている。

 ◇解列の「違反」も

 想定される要因の一つは、一般送配電事業者が把握していない電源の脱落だ。中部電力は今月開かれた電力広域的運営推進機関(広域機関)の有識者会合で、上越火力線の事故後に一部の太陽光が解列したとの情報が寄せられたことを明らかにした。

 事実だとすれば「ルール違反」の可能性がある。系統連系を円滑に進めるための民間自主規格である日本電気協会の「系統連系規程」は2011年の改定で、電圧低下や周波数変動による太陽光の一斉解列を防ぐための要件を定めている。

 具体的には、(1)下がった後の電圧が30%以上(2)周波数変動が1秒間当たり2ヘルツ以内――の場合、運転を継続することを求めた。実際、2ヘルツを超える周波数変動は一回も起きておらず、規程の順守が求められる。ただ規程通りに運転を継続していても出力が低下した可能性もあり、一般送配電事業者と広域機関は今後、詳細な分析を進める。

 もう一つ考えられるのは同期発電機の運転台数の減少だ。同期発電機は他の発電機と同じ速度で回ろうとする性質(同期化力)を備えており、周波数の安定化に寄与している。インバーターを介して系統に接続する太陽光や風力に押されて同期発電機の割合が減ると、系統全体の同期化力が弱まり、周波数変動が大きくなる可能性がある。

 現時点でどこまで影響を及ぼしているのかは不透明だが、リスクは高まっている。一般送配電事業者が公表している16年度の需給実績(速報)によると、九州エリアで昨年5月4日午前11時~正午、太陽光と風力の合計出力(1時間平均値)が需要の64%を占めた。大半は太陽光で、火力の出力抑制と揚水動力のフル活用で乗り切った。こうした現象は需要の端境期に起こり、需要の5割超を記録した日は昨年4~6月で計17日に及んだ。

 ◇徹底検証が必要

 他エリアも安泰ではない。昨年5月4日の同じ時間帯、太陽光と風力の出力(同)が需要に占める割合は四国で57%、中国と中部で40%台を記録するなど、西日本エリア全体で4割に達した。広域機関によると、西日本エリアの太陽光と風力の設備容量は1年後までに約500万キロワット、10年後までに約2千万キロワット増える見込みだ。

 周波数の変動が大きくなると、連鎖的な電源脱落を回避するために負荷遮断(停電)の規模を拡大せざるを得なくなるなど、事故の影響はより広範囲に及ぶ見通し。高まるリスクにどう対応するのか、徹底した検証が求められる。



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