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東電火力入札、落札案件撤退で再注目/他社は“追い風”期待も

2017/04/18  1面 

◆東燃ゼネラルとKenesの石炭火力計画中止で

 東京電力が2014~15年度に実施し、計600万キロワットを募集した火力電源入札。大型石炭火力発電所で応札した各陣営の“その後”が注目を集めている。落札者に選ばれ、価格競争力があるとみられていた東燃ゼネラル石油(当時、現JXTGホールディングス)が3月、関電エネルギーソリューション(Kenes、大阪市、白井良平社長)と検討していた石炭火力の建設中止を発表。このとき落札を逃した他陣営がプロジェクト実施の可能性を模索する中で、いち早く撤退を決めるという展開が注目を集めている。

 旧東燃ゼネラルは同社千葉工場の敷地にKenesと組んで建設する予定だった100万キロワット級の石炭火力発電所で応札。落札分145万キロワットの案件別内訳は非公表だったが、電気新聞の取材によると約20万キロワット分が旧東燃ゼネラルの落札だったもようだ。

 全体の2割に安定した買い手がつくのは、資金調達面でも事業にはプラス。計画の実現性が高まったとみられていただけに中止表明は驚きをもって受け止められた。『事業性の変化』が公式の説明理由だが、ある関係者は「そもそもの応札価格が安過ぎてリスクになったのでは…」と話す。

 別の関係者はJXホールディングスとの経営統合が背景にあると推測する。「首都圏の電力需要が伸び悩む中、統合後に投資する案件について相当シビアな選別が行われた可能性もある」

 ◇保証金協議は

 受給契約を結ぶ東電エナジーパートナー(EP)にとって競争力ある20万キロワットのベース電源を失う影響は小さくない。業界関係者の関心は早くも受給契約解消に向けた協議に移りつつある。焦点の一つは東電が募集要綱で明記した『契約保証金』の扱い。落札者に対し、供給開始までの担保として契約最大電力1キロワット当たり5千円を預託するよう求めている。今後もこうした事態が起こる可能性があり、今回の負担を巡る協議の決着が一つのケースとして注目を集めそうだ。

 一方、東燃ゼネラルの計画中止は、火力入札で落札を逃した他陣営の検討にも影響を及ぼすとみられる。Kenesは丸紅と組んで秋田県で建設予定の石炭火力でも応札したが選に漏れた。発電所としての競争力は千葉が優位というのが大方の見立てだったが、一方の計画中止を受けて残る秋田にどう対応するか。首都圏向け販売戦略に大きく関わる判断となる。

 ◇系統容量改善

 中国電力とJFEスチールが千葉県で計画している石炭火力も落札を逃したが、こちらには追い風という見方もある。房総半島と首都圏を結ぶ系統の空き容量不足の問題が改善される可能性があるからだ。

 落札できなかった他の石炭火力2件は、東電が社内カンパニーのフュエル&パワー・カンパニー(当時)を通じて応札した案件。このうち1件は石油の横須賀火力発電所を高効率石炭火力に更新する計画で、現在は東電フュエル&パワー(F&P)と中部電力の合弁会社JERAが承継、環境影響評価を進めている。

◆メモ◆
 経済産業省が2012年にガイドラインを整備して東京電力が火力電源入札を行ったのは2回。初回は12~13年度で19年6月~21年6月までに供給開始する火力電源260万キロワットを募ったが『1キロワット時9.53円』という上限価格がハードルとなり、落札は68万キロワットにとどまった。14~15年度に実施した2度目の入札は初回の未達分と新・総合特別事業計画(新総特)で掲げた1千万キロワットリプレースの一部の合計で600万キロワットを募集。上限価格は非公表とした。 14年度末の締め切りまでに応札したのは10件・453万キロワット(石炭9件、LNG1件)。首都圏の電力市場に対する関心の高さを反映して応札は活況だったが、落札は5件・145万キロワット。残る5件・308万キロワット(石炭4件、LNG1件)は東電の小売部門と電力受給契約を結ぶあてがないまま、事業検討を進めざるを得ない状況となった。

【東電火力電源入札(16年度実施)の概要】
募集規模 600万キロワット(契約期間原則15年)
応札件数 453万キロワット・10件(石炭9件、LNG1件)
落札件数 145万キロワット・5件(全て石炭)

【落札した5件の内訳】
◆東電が12年度実施した第1回入札落札者の再応札
 3件・計約75万~80万キロワット
◆既存IPPの契約更新に伴う応札
 1件・約45万~50万キロワット
◆東燃ゼネラル、Kenesの千葉・石炭火力
 1件・約20万キロワット



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