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九州電力、「電圧フリッカ」対策急ぐ/低圧太陽光急増で発生

2017/04/17  1面 

◆JEMAなど、抜本改善へ新型機開発

 九州全域で家庭や商店、工場の照明がちらつく「電圧フリッカ」現象が今年2回発生し、九州電力が顧客から多くの問い合わせを受けた。太陽光発電が電力系統に大量接続された状況に、パワーコンディショナー(PCS)の機能設定が合わなくなったことが主な要因とされる。同社は太陽光の発電量割合が増えがちな5月の大型連休前後に同じ現象が起こらないよう、緊急対策をとっているさなか。電力やメーカーの業界団体は並行して、抜本的な対策を検討している。(山下 友彦)

 電圧フリッカは送配電線の電圧が繰り返し変化することで起こるが、感電や停電にはつながらない。昔は電力使用量が急激に変わる電気炉やエックス線装置の周りで起こったが、近年は関係なく発生している。電気事業連合会と日本電機工業会(JEMA)、太陽光発電協会が調べたところ、出力50キロワット未満の低圧太陽光発電用PCSから、電線に常に送られている電力が原因だった。

 日照の良い九州エリアには、2012年のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)開始以降、太陽光発電の設置が比較的集中し、全国の約2割の容量が導入されている。今年2月末の導入量は688万キロワットで、この1年で10%強・70万キロワット増えた。このうち低圧太陽光は354万キロワットと半分強を占め、1年で38万キロワット増加した。

 基幹装置のPCSは(1)太陽光パネルが発電した直流電力を交流電力に変えて電線に送る(2)電線の停電時や発電設備の故障時に感電事故を防ぐため設備を電線から切り離す(解列)--などの機能を持つが、太陽光発電の導入増加とともにPCS設置台数も増えている。

◇無効電力が影響

 単独運転検出機能を持つPCSからは、系統側の停電を検知するために無効電力が供給されている。ただ、系統に接続されるPCSの台数が増え、無効電力の供給量が過大になると、電圧が高まる。この高さが一定の周期で変化し、電圧フリッカが起こるとされた。

 16年末までの数年間はエリア内で局地的に電圧フリッカが起こり、九州電力はそのつど対策をとってきた。だが、今年の元日と2月19日の昼間帯にあった電圧フリッカは九州全域で同時に発生した点が“衝撃的”だった。両日とも全域で晴れており、電力使用量が少なく、太陽光パネルが発電ピークを迎えた正午頃には、電力需要に占める太陽光発電の比率が55~57%と高かった。PCSの台数増加と併せて、発生要因と考えられる。

 「照明がちらついている」という顧客からの問い合わせは計471件。特に太陽光発電とPCSの設置が多い宮崎、鹿児島の両県からが8割弱の363件と大半だった。九州電力はホームページなどで速やかに電圧フリッカの広域発生と特徴を知らせ、3月からはまず、両県で緊急対策に乗り出した。

◇大型連休までに

 具体的にはPCSの設定を変え、機能に支障ない範囲で無効電力の供給量を抑えるよう、発電事業者やメーカーに要請。同社の社員も作業を手伝った。低圧太陽光用PCSは両県の約520カ所に1万2千台あったが、今月12日時点で約220カ所・7800台の設定を変更した。同社は大型連休までに作業を完遂したいとしている。

 とはいえ、今後もPCSの設置台数が増えれば電圧フリッカは防ぎ得ない。そこで、JEMAなどは課題を克服した新型PCSを開発し、18年度にも民間規格に位置付けて設置を促す考えだ。新型PCSには、電圧フリッカの予兆を検出すると無効電力の供給自体を止める機能を搭載する。

 九州電力は14年秋、風力も合わせた系統接続申請案件が全て接続・発電すれば、電気の使用が少ない春・秋の晴天時には安定供給に黄信号がともるとして、接続をいったん保留した。これが国による接続ルールの本格整備につながったものの、今も太陽光発電の導入増加に伴う系統運用には苦心している。電圧フリッカは、そこに浮上した新たな課題といえそうだ。



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